2018年3月29日木曜日

人の骨は、しがんでしがんで味がでる②

先日、無事終演をいたしました、黒電話プロデュース。
3ヶ月ちょっとという期間をかけて取り組んだ、『みそ味の夜空と』という作品について書いていこうと思います。

『みそ味の夜空と』、
ご覧いただいたお客さまから、色々な感想を頂戴しました。

「ちょっとおかしな人たちの」、などと表現されているのが少し目につきましたが、
わたし自身は、全くもって、全然、おかしいとは思いませんでした。

そこらへんにいる、普通の人たち。
わたしにはそんな風に見えました。

確かに、台本に書かれているセリフやト書きは、
一見、破天荒でワケがわからない言葉や、なぜこんなコトするのか意味不明だったりしました。


でも、普段生活してる中でも、
破天荒でワケがわからない言葉を使って喋る人、
意味不明な行動してる人、いっぱいいっぱいいませんか?

たぶん、そのうちの一人がわたしなんだと思います。

なので、わたしはこの脚本を読んで、
「作家の南出謙吾さんは、なんて、日常を切り取るのがうまい人なんだろう」と感じました。

舞台では、「少し特別なある日」「数日後」「その数日後」と書かれています。
日常のうちの、「少し特別なある日」とその日につながる「ある日」を切り取っているお話。

当然、彼、彼女たちには他の日常があるわけで、
その日はきっと、朝の満員電車に揺られて会社に行っていたり、お米を炊いたり、着ていく洋服に迷ったり、自転車のチェーンが外れたり、しているわけです。


でも、作品として表に出てくるのは「少し特別なある日」とその日につながる「ある日」のみ。
作品に表現されていない他の日は、知る由もありません。

感覚としては、普段、生活して誰かと過ごすのと、なんら変わりはありませんでした。


作品に取り組み始めてから、本番、舞台に立っている間、今現在に至るまで、
精神的な変化がほとんどないのは、そのためなんでしょうか。

実は、本番が始まっても、「本番って感じがしないなぁ」なんて、
他の俳優さんに漏らしていたんですが、
その理由が何となくわかったような気がしました。

いつも舞台に立つときのように、「気合満点!」な状態ではなく、
完全リラックスモードでの本番だったように思います。
喉が渇いたり、とか、体は多少緊張していたみたいですが、精神的な緊張はほとんどなかったように思います。


『みそ味の夜空と』終わって、今の率直な感想は、
「めちゃくちゃ仲のいい友達が一人増えたような気分」です。

こんな感覚、初めてです。

2002年に書かれて、現在まで15年以上、上演され続けて、
たくさんの人からの愛を受けてきた作品なんだろうな、と。

良き作品に出会えたなと、心から感じています。